2004年9月21日 通算3回目の口頭弁論のご報告

(ホームオブハートは「HOH」と省略して表記しています。)

〜 9月21日(火) 東京地方裁判所 611号法廷 10:10開廷 〜

■紀藤弁護団から10名と被害者弁護団から3名(内2名重複)の計11名の弁護士と山本が出席。

■HOH代理人の佐藤仁志弁護士(新宿御苑法律事務所)、トシオフィス代理人の河井匡秀弁護士と市河真吾弁護士(赤坂見附総合法律会計事務所)が出席。

■紀藤、山本他側から、冒頭に意見陳述を申 し入れたところ、 トシオフィス代理人から、意見陳述に反対する発言があったが裁判長が意見陳述を許可。更にト シオフィス代理人が異議申し立てし、裁判長が「異議を却下します」と即座に応じられ、先ず紀藤弁護団の団長である田中清治弁護士が意見を述べられました。田中弁護士の陳述中にも無意味に市河弁護士が異議を申し立てるという異例のスタートでした。

紀藤弁護団、田中清治団長の意見陳述骨子
今回の事件の本質は弁護士業務の妨害事件であることを先ず指摘したい。キリスト教によれば、金持ちが天国に入るのは、ラクダが針の穴を通るより難しいと言われている。お金で幸せは買えない。ホームオブハートは、セミナーや癒しを標榜しながら、お金にトラウマがあるなどとして、善良な市民から組織的かつ半強制的に多額の金銭を取り上げており、その活動は欺瞞に満ちたものである。 消費者被害を捨て置くことはできない。金銭被害だけでなく、普通の市民レベルでは考えられない児童などの人権侵害がある。例えば就学年齢の児童に教育を受けさせるのは確立した公の秩序であり、市民の義務であるが、どの児童も就学させていないのは公序良俗に反するとる考える。紀藤弁護士は、長年の消費者被害救済活動等で人権感覚を磨いてきたからこそ、この問題に敏感に立ち上がった。本裁判は、まず弁護士の正当な業務行為に対する侵害として審理される必要がある。次いで違法行為を暴き、被害の予防、救済への道標を立てる必要がある。幸い本事件では多数の証拠が集積されており、既に違法性は明らかなので、迅速な裁判を求める。

山本の意見陳述(全文)■

1 団体ホームオブハートの主要メンバーであるToshiこと出山利三(以下「出山」とする)らが紀藤正樹弁護士、私、およびもう一人のホームオブハート被害者に対して損害賠償請求の訴訟を提起したことに、強い憤りと共に大きな懸念を感じております。

2 トシオフィスに在職した3年余り、特に団体ホームオブハートでMASAYAこと倉渕透の指揮下にあった1年10ヶ月間、私は出山や倉渕らの活動をすばらしいものだと宣伝してその活動を支え、結果として何人かの人たちが倉渕のセミナーを受け、財産を失い、また親子が分断されるなど、取り返しのつかない状況が発生してしまいました。その慙愧の念は今も消えることはありません。特に、母親をセミナーに奪われた子どものことなどを考えると、胸がつぶれそうな思いがします。

3 私の訴訟代理人でもある紀藤弁護士は、私を含め、何人もの脱会者や関係者の話に真剣に耳を傾け、被害の回復、特に子ども達の人権回復のために労をいとわず正に献身的な活動を続けて下さっています。その真摯な姿勢や弁護士として公正に事実だけを見ようとされる姿勢からは多くの事を教えられ、私自身も感情に流されて誇張することなく、事実を事実として語ろうという勇気を得ることができました。

4 今回の訴訟の発端となった児童相談所への通告や児童福祉法違反等の告発などは、子ども達の成長期の貴重な時間が刻々と過ぎていく中で、一日も早い救済が必要だという、止むにやまれぬ事情を踏まえてのものでありました。そして、虐待が疑われると児童相談所が判断したからこそ児童の一時保護が行われ、その後約2ヶ月間に及んだ調査の結果、「不適切な養育環境」であったとの判断が明確に下されており、なぜこのように平然とそれらの事実を裁判所に対して隠したまま訴状を提出されたのか、訴訟代理人である赤坂見附総合法律会計事務所の弁護士の先生方にも、ぜひご説明いただきたいと望みます。

5 本来、出山らやホームオブハートは、自らの運営する施設で子ども達が「不適切な養育環境」に置かれていたと県から認定された事実や、それについての自らの責任を何よりも重く受け止め、真実を語り、反省と謝罪と是正を行うべきです。しかし、出山らは全く何の問題もなかったかのごとく、「悪質なでっち上げ」が明らかになったなどと平然と主張し、私たちに対する人格攻撃と誹謗中傷を繰り返し、私に対して根拠のない仮処分申請や損害賠償請求訴訟を起こし、更に今回また名誉毀損訴訟を提起し、あろうことか、弁護士会に対して紀藤弁護士の懲戒請求まで申し立てました。このような弁護士としての業務を妨害し、真実を語ろうとする私や他の元セミナー生の口を封じるような行為には、強い憤りを感じます。

6 もし今回の損害賠償請求が認められ、被害救済のために弁護士として誠実に活動している弁護士や、勇気を持ってホームオブハートの実態を告発した私たち元セミナー生が損害賠償を求められるならば、今後同様の被害が発生しても被害者は救済を求めて弁護士の先生方に相談することを躊躇せざるを得なくなり、泣き寝入りするしかなくなるのではないかと、深く懸念します。

7 勇気を振り絞って真実を語り、告発を行った一市民として、万が一にもこのような不当な攻撃とも言える損害賠償請求が認められることのないよう、心から強く願います。

以上

紀藤弁護士の意見陳述
こちら(ホームオブハートとToshi問題を考える)こちら(意見陳述の概要)をご参考ください。

トシオフィス・出山代理人市河弁護士の陳述
(既に提出している訴状の骨子を読み上げるという、あまり例を見ないもの。)児童虐待など全くなかった。被告紀藤と山本らは共謀してマスコミと結託して虚偽をでっち上げて通告や刑事告発、刑事告訴をした。

紀藤弁護団、山口廣弁護士よりの求釈明
原告訴状の内容は、具体的に何が誰によるどのような名誉毀損なのか具体的に示して提示していない。明確に説明するよう釈明を求める。

紀藤弁護団、被害者弁護団の山口貴士弁護士よりの発言
前回の口頭弁論から2ヶ月も経っているにもかかわらず、裁判所からも提出を促されてるにもかかわらず、具体的反論の準備書面や書証を今もって提出していないのはどういうことか。その間に新たに出された2件の訴訟の訴状も、かなりの部分が5月の仮処分のもののコピペだ。裁判を故意に遅延させようとしているのではないか。裁判所からも強く提出を促して裁判を進行させていただきたい。

裁判長の発言
新たにもう1つ訴状が出て(HOHが紀藤・山本の2名に名誉毀損で損害賠償5460万余を請求)、事件数が4件と多くて錯綜している状況だ。今日は時間が既に押しているので、後日進行協議で扱う。

HOH代理人・佐藤仁志弁護士の発言
HOHとトシオフィスは別法人で、Toshiのマネージャーの根本和明氏は、HOHの社員ではない。間違った報道をされては困る。

紀藤弁護士の発言
法人格を離れた実態としてのホームオブハートという団体を観念すると、両社を合わせてホームオブハートとすることに別段問題がなく、MASAYAを代表と呼んでも問題ないではないか。

次回期日の決定
10月に進行協議(非公開)、11月9日10時30分〜および12月14日10時30分〜口頭弁論。(いずれも611号法廷にて)

以上

■紀藤弁護士も、ご自身のホームページで報告されています。⇒こちら